
はじめに

「終活を始めたほうがいいのかな」
そう思いながらも、何から手を付ければいいのかわからずそのままになっていませんか?
実は私はそうでした。
終活という言葉は以前から知っていましたが自分にはまだ早いと思っていたのです。
ところが50代になり、親の体調や将来のことが少しずつ気になり始めました。
親の介護はどうなるのだろう。
実家は誰が管理するのだろう。
相続のときに兄弟でもめることはないだろうか。
そんなことを考えるうちに「まずは相続について知っておかなければ」と思うようになりました。そして相続を調べる中で自分自身の終活についても考えるようになったのです。
終活というと、遺言書を書いたり財産を整理したりするイメージがあるかもしれません。しかし実際には、人生の終わりを準備するというより家族が困らないための準備をすると言ったほうが近いように思います。
この記事では、親の終末期が気になり始めた50代前後の方に向けて、終活は何から始めればよいのか、そして相続で困らないために今できることをお伝えします。
「何から始めればいいかわからない」
そんな方こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。
【第1章】なぜ50代になると終活が気になり始めるのか

「終活」と聞くと、高齢になってから考えるものだと思っていませんか?
50代になると、親の体調の変化や介護、実家の問題などが少しずつ現実味を帯びてきます。私自身も半年ぶりに帰省したら、80代の母が階段の上り下りに手すりを使うようになっていたのを目の当たりにした時、将来の不安を感じました。
そして実家の今後を考える中で、兄弟との間にある温度差や距離感にも気づいたのです。
このまま何も話し合わなかったら、相続のときに困るかもしれないと感じたことが
終活を意識するきっかけになりました。
あなたも、親のことで心配ごとが増えてきたと感じることはありませんか?
ここでは、50代になると終活が気になり始める理由について深掘りしてみます。
親の入院や介護がきっかけになる
50代で終活を意識し始める大きなきっかけの一つが、親の入院や介護です。それまで元気だった親が、突然入院したり物忘れが増えたりすると、「親も年を取ったんだな」と実感する場面が増えてきます。厚生労働省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001364995.pdf)
によると、要介護認定を受ける人は、75歳を超える頃から急激に増加します。
50代の子世代にとっては、まさに親の介護が現実になるのですね。
私の場合も親が高齢になり、体力の衰えを感じるようになった頃から
「もし親に何かあったらどうするんだろう」と考える機会が増えました。
すると自然に、
- 財産はどうなっているのか
- 通帳や保険はどこにあるのか
- 相続人は誰になるのか
- 実家はどうするのか
といった疑問が浮かんできたのです。
介護や入院は、単に健康の問題だけではありません。その先には相続や実家の問題もつながっていることに気づく人が少なくないんですよね。だからこそ、親が元気なうちから少しずつ情報を共有しておくことが、のちのちの安心につながります。
実家の片付け問題が見えてくる
終活を考え始めるもう一つのきっかけが、実家の片付け問題です。
久しぶりに実家へ帰省したとき「こんなに物があったっけ?」と驚いた経験はないでしょうか。押し入れの中には何十年も前の書類やアルバム、使わなくなった家具や家電がそのまま残っていることも珍しくありません。
親世代は物を大切にする人が多く、気づけば家の中にたくさんの物が積み重なっています。親が亡くなったあと、その片付けをするのは子ども世代なのです。
遺品整理(亡くなった人の持ち物を整理すること)を経験した人からは
- 何から手を付ければいいかわからない
- 大量の写真や手紙の処分に悩んだ
- 通帳や権利書が見つからない
- 何度も実家に通うことになった
という声が挙がるようです。
私の場合は、兄弟との間で実家との関わり方に違いがあると感じるようになりました。近くに住んでいる人と遠方に住んでいる人では、親との接触頻度も違います。そうなると親の状況について、知っている情報量にも差が出てきます。
「自分は知っていると思っていたけれど、兄弟は知らなかった」
あるいはその逆もあるかもしれません。
こうした小さな認識の違いが将来の相続トラブルの種になることもあるのです。
実家の片付け問題は、実は相続準備の入り口でもあるのかもしれません。
自分自身の老後も気になり始める
さらに、親のことを考えているうちに自分自身の将来が気になり始める人も多いと思います。
50代は、親を見送り始める世代であると同時に自分の老後を考え始める世代でもあるのです。
例えば、
- 定年後の生活費は足りるだろうか
- 年金だけで暮らせるのだろうか
- 子どもに迷惑をかけたくない
- 自分の財産はどう整理しておくべきだろう
そんなことを考え始めるのではないでしょうか。
私自身、最初は「親の相続が心配」という気持ちから情報を集め始めました。ところが調べれば調べるほど、「親のことだけじゃないな」と思うようになったのです。
親の相続で困りそうなことは、自分の相続でも同じように起こる可能性があります。
通帳の場所がわからない。
契約している保険がわからない。
子どもに何も伝えていない。
そう考えると、終活は人生の終わりの準備というよりも「家族に負担を残さないための整理」なのかもしれません。
親の終末期を意識したことがきっかけで、自分自身のこれからの生き方や老後について考え始める人は少なくありません。
第1章まとめ
50代で終活が気になり始める背景には親の入院や介護、実家の片付け問題、
そして自分自身の老後への不安があります。
私自身も、兄弟との間で親や実家との距離感の違いを感じ「相続のときに大丈夫だろうか」と考えたことが終活への入り口でした。終活は決して亡くなる準備だけではないのです。
では実際に、終活は何から始めればよいのでしょうか。
次の章では
50代が最初に取り組みやすい終活の3ステップについて具体的に見ていきます。
【第2章】終活は何から始める?最初の3ステップ

終活という言葉を聞くと、遺言書を書いたり財産を整理したりとなんだか大変そうなイメージがありませんか。
私も最初はそう思っていました。
けれども、実際に調べてみると、いきなり難しいことをする必要はないようなのです。
むしろ大切なのは、小さな一歩を踏み出すことかもしれません。
特に親の終末期や相続が気になり始めた50代なら「今の状況を整理する」ことから始めるだけでも十分意味があります。
ここでは、終活初心者でも取り組みやすい3つのステップを紹介します。
エンディングノートを知る
終活の第一歩としておすすめなのが、エンディングノートを知ることです。
エンディングノートとは、自分に関する情報や希望を書き残しておくノートのことです。
よく遺言書と混同されますが、役割はまったく違います。遺言書は法律上の効力を持つ文書ですが、エンディングノートには法的効力はありません。
その代わり、自由に書けるという大きなメリットがあります。
例えば、
- 自分の基本情報
- 緊急連絡先
- 銀行口座や保険の情報
- 医療や介護の希望
- 葬儀やお墓の希望
- 家族へのメッセージ
などを記録できます。
「まだ早いかな」と思う人もいるかもしれません。
でも、実際に親の相続を経験した人の多くが「どこに何があるかわからなかった」という壁にぶつかります。
通帳を探したり、保険証券を探したり、契約していたサービスを調べたり。
残された家族にとってそれらの確認は、想像以上に大変な作業なんですよね。
私自身、相続について調べ始めたときに感じたのは「情報がまとまっているだけで助かる」ということでした。
完璧に書く必要はありません。
まずは名前や住所、家族の連絡先だけでも書いてみる。
そんな気軽なスタートで十分です。
財産の把握を始める
終活を考え始めたら、次に取り組みたいのが
財産の把握です。
ここでいう財産とは、お金持ちだけが気にするものではありません。預貯金だけでなく、不動産や保険、証券口座、さらには借入金も含まれます。
相続の場面で意外と多いのが「親の財産がどれくらいあるかわからない」というケースです。
例えば、
- 銀行口座がいくつあるのかわからない
- ネット銀行を利用していた
- 保険に加入していたことを知らなかった
- 古い証券口座が残っていた
といったことは珍しくありません。
私が相続について学び始めたのも、実はここが気になったからでした。
兄弟それぞれが親との距離感や関わり方が違うと、持っている情報にも差が出てきます。
すると「そんな話は聞いていない」
「知らなかった」
という状況になりやすいのです。
トラブルを避けるためにまずは、親の財産を調査するのではなく自分自身の財産を一覧にしてみましょう。
例えば、
- 銀行口座
- 保険
- NISA口座
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 不動産
- クレジットカード
などを書き出してみるだけでも、自分の現状が見えてきます。
親の相続を考えることは、自分の終活を考えることにもつながっているんですよね。
家族と話す機会を作る
終活で最も難しく、そして最も重要なのが
家族とのコミュニケーションです。
なぜなら、相続トラブルの多くは財産の多い少ないではなく「話し合い不足」から起こるからです。
実際、家庭裁判所で扱われる遺産分割事件(相続人同士で遺産の分け方を争う手続き)の多くは、遺産価額5,000万円以下の案件が約8割を占める(司法統計年表第52表参照https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/toukei/toukei-pdf-12787.pdf?utm_source=chatgpt.com)というデータもあります。
「うちは財産が少ないから大丈夫」とは言い切れないんですよね。
私自身、兄弟との間で親や実家との関わり方に違いがあることに気づいたとき、少し不安になりました。
親の近くに住んでいる人。
遠方に住んでいる人。
頻繁に連絡を取る人。
そうではない人。
それぞれ事情が違うからこそ、認識にもズレが生まれます。だからこそ、元気なうちから少しずつ話す機会を作ることが大切なんです。
とはいえ、
「相続の話を切り出しにくい」
という人も多いでしょう。
そんなときは
いきなり財産の話をする必要はありません。
例えば、
- 実家の片付けの話
- お墓の話
- 葬儀の希望
- エンディングノートの話
などから始めると、比較的自然に話題にできます。
終活は書類を整理することだけではありません。
家族の間で情報を共有し、将来への不安を減らしていく作業でもあるのです。
第2章まとめ
終活は難しいことから始める必要はありません。
まずはエンディングノートを知ること。
そして財産を把握し、家族と話す機会を作ること。
この3つだけでも、将来の不安はかなり整理されます。
そして実際に終活を進めていくと避けて通れないのが「親の財産をどこまで把握しているか」という問題です。
次の章では
相続で困らないために知っておきたい「親の財産状況の確認」について詳しく見ていきます。
【第3章】実は一番大切!「親の財産状況」を把握しよう

終活というとエンディングノートや生前整理を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろんそれらも大切ですが相続で本当に困るかどうかを分けるのは親の財産状況を把握できているかどうかです。
親が亡くなった後「何を持っていたのかわからない」という状態になると、相続手続きは一気に複雑になります。
親が元気なうちに少しずつ情報を共有しておくことが、将来の安心につながります。
預金口座を知らないと何が起こる?
親の預金口座を把握しておくことは、相続準備の基本です。
なぜなら、口座の存在を知らないと、相続財産そのものを見落としてしまう可能性があるからです。
最近はメガバンクだけでなく、
- ネット銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
- ゆうちょ銀行
など複数の金融機関を利用している人も少なくありません。
親が亡くなると銀行口座は凍結されます。
凍結とは
預金の引き出しや解約ができなくなることです。
その後は相続人全員の同意や必要書類をそろえて、手続きを行わなければなりません。もし、口座の存在自体を知らなければ、手続きのスタート地点にも立てません。
実際「亡くなってから数年後に、休眠口座(長期間利用されていない口座)が見つかった」
というケースもあります。
親に直接聞きづらい場合は、
- どこの銀行を利用しているか
- 通帳はどこに保管しているか
- ネット銀行を利用していないか
といった点だけでも確認しておくと安心です。
相続では「あると思っていた財産がなかった」より「知らない財産が後から見つかった」のほうが、手続きが大変になることもあります。
不動産の名義を確認しておく
相続で特にトラブルになりやすいのが
不動産です。
実家があるから安心と思っていても、名義が誰になっているのか分からないケースがあり、それが問題になる場合があります。
- 父名義だと思っていたら祖父名義だった
- 亡くなった母の名義が残っていた
- 共有名義(複数人で所有する形)になっていた
ということは珍しくありません。
名義を確認するには、固定資産税納税通知書や、登記事項証明書(法務局で取得できる不動産の情報)を見る方法があります。
2024年からは
相続登記(不動産を相続した際の名義変更)が義務化されました。
これまでのように「そのうちやろう」と放置すると、過料(行政上のペナルティ)が発生する可能性もあります。
また、不動産は現金と違って分けにくい財産です。兄弟が複数いる場合、
- 誰が住むのか
- 売却するのか
- 賃貸に出すのか
で意見が分かれることもあります。
だからこそ、まずは名義と不動産の状況を把握しておくことが大切です。
保険の契約状況を調べる
意外と見落とされやすいのが生命保険です。
それなのに、相続の現場では、生命保険が重要な役割を果たすことがあります。
なぜなら、死亡保険金は現金として受け取れるため、葬儀費用や相続手続きの費用に充てられるからです。
しかし、
- どこの保険会社か分からない
- 保険証券が見つからない
- 契約内容を誰も知らない
というケースも少なくありません。
親世代は、何十年も前に契約した保険をそのまま持っていることがあります。中には本人も契約内容を忘れている場合があります。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 保険会社名
- 保険証券の保管場所
- 契約者
- 被保険者(保険の対象者)
- 受取人
特に、受取人が亡くなった配偶者のままになっているケースもあるため、注意が必要です。
保険の存在を知っているだけでも、将来の手続きはかなりスムーズになります。
また同時に、親だけでなく、自分自身の保険も確認しておくことが大切です。
借金や保証人の有無を確認する
財産を把握するときは、プラスの財産だけでは不十分です。借金などのマイナスの財産も確認しておく必要があります。
特に相続では、
- 預貯金
- 不動産
- 株式
だけでなく、
- 住宅ローン
- カードローン
- 消費者金融からの借入
- 保証債務(他人の借金の保証人)
なども引き継ぐ可能性があります。
例えば、親が知人の借金の連帯保証人になっていた場合、その責任が相続人に及ぶケースもあります。
もちろん、相続放棄(相続人としての権利や義務を放棄する手続き)という方法もあります。
ただし、相続放棄は原則として相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
後から借金が見つかっても対応が難しくなることがあります。
そのため、
- 借入金の有無
- ローン残高
- 保証人契約の有無
については、できる範囲で確認しておきたいところです。
相続は「何を受け取れるか」ではなく
「何を引き継ぐのか」を知ることでもあるんですよね。
第3章まとめ
相続で本当に困るのは、財産が少ないことではなく、財産の全体像が分からないことです。
預金口座、不動産、生命保険、借金など、親が持っている財産を把握しておくことで
将来の相続手続きは大きく変わります。
そして、財産状況を把握していくと次に気になってくるのが「相続で何が起こるのか」という問題です。
次の章では
多くの人が後悔している相続の失敗例について見ていきましょう。
【第4章】相続で困る人が必ず後悔する3つのこと

相続は、多くの人にとって人生で何度も経験するものではありません。そのため、実際に相続が発生してから初めて慌てる人も少なくありません。
相続で後悔する人には共通点があります。そんな後悔を減らすために事前の準備が必要であり、そのための行動が終活なのです。ここでは終活も念頭に置いたうえで、特によくある3つの後悔について見ていきます。
遺言書の有無を確認していなかった
相続で最も多い後悔の一つが、遺言書の有無を確認していなかったことです。
なぜなら、遺言書があるかないかで、相続手続きの進め方が大きく変わるからです。
例えば
親が亡くなった後、「遺言書はないと思っていた」のに、数か月後に自宅の引き出しから見つかった。
そんなケースも実際にあります。
もし遺言書が見つかれば、それまで進めていた遺産分割協議(相続人同士で遺産の分け方を決める話し合い)をやり直さなければならない場合があるんですよ。
また、遺言書にはいくつか種類があります。
主なものは次の3つです。
- 自筆証書遺言(本人が手書きする遺言書)
- 公正証書遺言(公証役場で作成する遺言書)
- 秘密証書遺言(内容を秘密にして作成する遺言書)
最近は法務局の遺言書保管制度も始まり、自筆証書遺言を法務局で預かってもらえるようになりました。
そのため、自宅を探しても遺言書が見つからない場合があります。
親に直接「遺言書を書いているの?」と聞きにくい人もいるでしょう。そんなときは
「最近、相続の話を読んだんだけど
うちは何か準備しているの?」
といった形で自然に話題を出してみるのも、一つの方法です。
遺言書の内容を知る必要はありません。
まずは存在の有無だけでも確認できると
その後の対応が変わってきます。
実家の権利関係を知らなかった
相続トラブルで特に多いのが、実家の権利関係を把握していなかったケースです。
実家は「親の家」だと思い込んでいることが多いのですが、実際に登記簿を確認すると事情が違う場合があります。
例えば、
- 祖父名義のままになっていた
- 父と母の共有名義だった
- 一部だけ親族との共有になっていた
といったケースです。
私の周囲でも「実家を売ろうと思ったら祖父名義だった」という話を聞いたことがあります。その場合、祖父の相続からやり直す必要があり、関係する相続人が何人にも増えてしまうことがあります。
また、兄弟の中には「実家は残したい」という人もいれば「売却して現金で分けたい」という人もいます。
どちらが正しいという話ではなく、それぞれの立場によって考え方が違うんですよね。
だからこそ、
- 実家の名義人は誰か
- 土地と建物の所有者は同じか
- ローンは残っていないか
といった基本的な情報は把握しておきたいところです。
親が元気なうちなら確認できることも、亡くなった後では調べる手間が何倍にもなることがあります。
兄弟姉妹との話し合いをしていなかった
実は相続で最も後悔する人が多いのが、兄弟姉妹との話し合いをしていなかったことです。なぜなら、相続トラブルの多くは財産の額ではなく、感情の問題だからです。
兄弟によって親との関わり方が違い、それぞれ事情があります。そのため、「自分はこれだけやってきた」「そんな話は聞いていない」「もっと早く相談してほしかった」という感情が生まれやすいのです。
その溝を埋めるためにも
- 実家の片付け
- お墓のこと
- 介護の希望
- 将来の住まい
などの話を始めてみるとよいでしょう。
小さな会話の積み重ねが将来の大きなトラブルを防いでくれます。
第4章まとめ
相続で後悔する人に共通しているのは「もっと早く確認しておけばよかった」という思いです。遺言書の有無、実家の権利関係、兄弟姉妹との情報共有。どれも親が元気なうちであれば
確認しやすいことばかりです。
相続は亡くなった後の問題ではなく、元気な今から始まっているのです。
では実際に、親が元気なうちに、何を確認しておけばよいのでしょうか。
次の章では、終活や相続準備に役立つ
「親の終活チェックリスト」を紹介します。
ご自身の終活にも活用できるので参考にしてください。
【第5章】親が元気なうちに確認しておきたい終活チェックリスト

相続や終活について調べていると「もっと早く聞いておけばよかった」という体験談をよく目にします。
実際、親が亡くなった後は悲しむ時間もないほど、多くの手続きに追われます。だからこそ、親が元気なうちに少しずつ情報を整理しておくことが大切です。
とはいえ、何を確認すればよいのかわからない人も多いでしょう。
そこでここでは、相続や終活の場面で特に重要な項目を、チェックリスト形式でまとめました。
すべてを一度に確認する必要はありません。まずはできることからやってみましょう。
家族で話し合うきっかけにしてみてください。
医療・介護関係
親の終末期を考えるとき、避けて通れないのが医療や介護の問題です。実際には相続よりも先に、介護や入院の問題が発生するケースが多いかもしれません。
親が元気なうちに確認しておきたい項目は次のとおりです。
- かかりつけ医
- 持病や服用中の薬
- 健康保険証の保管場所
- 介護保険証の保管場所
- 延命治療に対する考え方
- 施設入居の希望
- 在宅介護を希望するか
特に延命治療については、家族だけで判断するのが難しい問題です。もし本人の意思がわからなければ「本当にこれでよかったのだろうか」と後悔が残ることもあります。
少し重い話題に感じるかもしれませんが、元気なうちだからこそ冷静に話し合えるのではないでしょうか。
葬儀関係
葬儀の希望も事前に確認しておきたい項目です。
近年は家族葬が増えていますが、本人が希望している形式とは限りません。実際に亡くなった後は時間が限られているため、家族は短期間で多くの決断を迫られます。
確認しておきたい項目は次のとおりです。
- 家族葬か一般葬か
- 宗教や宗派
- 菩提寺(先祖代々付き合いのあるお寺)の有無
- 呼びたい人がいるか
- 遺影写真の希望
- 葬儀費用の準備状況
最近では「できるだけ簡素にしてほしい」という人も増えています。
一方で「昔からお世話になった人に最後の挨拶をしてほしい」と考える人もいます。本人の希望を知っているだけでも、家族の負担は大きく減るはずです。
お墓関係
お墓の問題は、相続が終わった後も長く続く課題です。
少子化や核家族化の影響で、お墓を継ぐ人がいない家庭も増えています。そのため、親世代と子世代で考え方が異なることも少なくありません。
確認しておきたい項目は次のとおりです。
- お墓の所在地
- 墓地の管理者
- 永代使用料(墓地を利用する権利の費用)の支払い状況
- 墓じまいの希望
- 納骨堂や樹木葬の希望
- 継承者の有無
私たち世代は、自分の老後だけでなく、親のお墓の問題にも向き合うことになります。「うちはまだ先の話」と思っていても、実際には親が元気な今だからこそ聞けることも多いのです。
デジタル遺産関係
最近の終活で特に重要になっているのが
デジタル遺産です。
デジタル遺産とは、インターネット上にある財産や契約情報のことを指します。昔は存在しなかった問題ですが、今後はますます重要になっていくでしょう。
確認しておきたい項目は次のとおりです。
- スマートフォンのロック解除方法
- パソコンのログイン情報
- ネット銀行の利用状況
- 証券口座の有無
- サブスク(月額課金サービス)の契約状況
- SNSアカウント
- クラウドストレージの利用状況
ネット銀行やネット証券は通帳がありません。家族が存在を知らなければ、財産を見落とす可能性があります。
また、使っていないサブスク契約が、亡くなった後も引き落とされ続けるケースもあります。
親世代はデジタルに詳しくないと思われがちですが、スマホやネットサービスを利用している人は年々増えています。
デジタル遺産への対応について、私が調べた中では「相手を選んで残すか残さないかを選別し、いざという時困らないように対策できる『まもーれe』というサービス」がありました。重要情報の保管場所を管理できるこういったサービスの利用もおすすめです。
今後の相続では
デジタル遺産の確認が当たり前になっていくでしょう。
第5章まとめ
親が元気なうちに確認しておきたいことは、財産だけではありません。
医療や介護、葬儀、お墓、そしてデジタル遺産まで
家族が困らないために共有しておきたい情報は意外とたくさんあります。もちろん、一度にすべてを確認する必要はありません。
大切なのは、少しずつ会話を始めることです。
実際の相続では、事前準備をしていても思わぬトラブルが起こることがあるのです。
次の章では
実際によくある相続トラブルの事例を通して、どんな問題が起こりやすいのかを見ていきます。
【第6章】親の相続で実際によく起きるトラブル事例

相続トラブルは、資産家だけの問題のような気がするかもしれません。しかし、一般家庭だからこそ起こるトラブルも少なくないのです。
ここでは、実際によくある相続トラブルを紹介します。「うちにも当てはまるかも」と思うものがないか、ぜひ確認してみてください。
通帳が見つからない
相続で最初につまずくケースが、通帳や金融資産の情報が見つからないことです。
相続手続きは財産を把握するところから始まります。ところが親が亡くなった後「通帳がどこにあるかわからない」という事態は意外なほど多く発生しています。
例えば、
- タンスの奥に保管していた
- 金庫の暗証番号がわからない
- 複数の銀行を利用していた
- ネット銀行を利用していた
といったケースです。
最近はネット銀行や、ネット証券を利用する高齢者も増えています。紙の通帳が存在しない場合、家族が気づかないまま財産が埋もれてしまう可能性もあります。
また、亡くなった後に新しい口座が見つかると、遺産分割協議(相続人同士で遺産の分け方を決める話し合い)をやり直さなければならないこともあります。
だからこそ、
- 利用している金融機関
- 通帳の保管場所
- ネット口座の有無
だけでも確認しておきたいところです。
「どこに何があるか分からない」という状態は、相続のスタートラインにも立てない状況なんですよね。
相続人が把握できない
相続では財産だけでなく、相続人を確定する作業も必要です。
ところが「相続人は兄弟だけだと思っていた」という思い込みが後で問題になることがあります。
例えば、
- 親に前婚の子どもがいた
- 養子縁組をしていた
- 認知した子どもがいた
といったケースです。
法律上の相続人を確認するためには、出生から死亡までの戸籍謄本(家族関係を証明する公的書類)を集めなければなりません。これが想像以上に手間がかかる作業なのです。
転籍(本籍地の変更)を繰り返している場合は、複数の自治体から戸籍を取り寄せる必要があります。さらに、長年連絡を取っていない親族が、相続人として現れるケースもあります。「そんな人がいたなんて知らなかった」という状況になり、話し合いが難航することもあります。
家族の歴史は思っている以上に複雑な場合があり、相続人の範囲について早めに理解しておくことが大切です。
実家を売却できない
親が亡くなった後、「実家を売却して相続財産を分けよう」と考える人は少なくありません。
ところが実際には、すぐに売却できないケースがよくあります。その理由の一つが4章でもあげた名義(実家の権利)の問題です。
具体的には実家が
- 祖父名義のままだった
- 相続登記がされていなかった
- 共有名義になっていた
という場合です。
2024年から相続登記が義務化されるようになったものの、それ以前は名義変更をせずに放置されている不動産が数多くあります。
さらに、「兄は売りたい」「妹は残したい」というように、相続人同士で意見が分かれることもあります。
長く住んでいた人と、離れて暮らしていた人とでは、考え方が違って当然です。しかし、その違いを話し合わないまま相続を迎えると、対立の原因になってしまいます。
実家は単なる不動産ではなく、思い出が詰まった場所だからこそ難しい問題なのです。
遺産分割で兄弟が対立する
相続トラブルの中で最も多いのが、兄弟姉妹の対立です。
しかも対立の原因は、お金そのものではないことが少なくありません。
例えば、
- 親の介護を担当していた
- 実家の管理をしていた
- 頻繁に帰省していた
という人は、「自分はこれだけ負担してきた」という気持ちを持ちやすくなります。
一方で、遠方に住んでいた兄弟には別の事情があります。仕事や子育てで十分に関われなかった人もいるでしょう。それぞれに事情があるにもかかわらず、相続の場面になると感情が表面化しやすいのです。
実際「親が生きている間は仲が良かった兄弟が、相続をきっかけに絶縁状態になった」という話も珍しくありません。
こうした対立を防ぐためには、
- 親の意向を共有する
- 財産状況を把握する
- 家族で話し合う機会を持つ
ことが大切になります。
相続は財産を分ける作業であると同時に、家族関係が試される場面でもあるのです。
第6章まとめ
相続トラブルは特別な家庭だけで起こるものではありません。
通帳が見つからない、相続人が分からない、実家を売却できない、兄弟が対立する。
こうした問題は、どの家庭にも起こる可能性があります。そして、多くの場合原因は「準備不足」や「情報共有不足」にあります。その問題を防ぐために終活は必要です。
では実際に親が亡くなった場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
次の章では
意外と知られていない相続手続きの流れについて詳しく見ていきます。
【第7章】相続手続きは想像以上に大変

相続の手続きは、親が亡くなった直後から数か月、場合によっては1年以上かかる手続きもあります。しかも、家族を亡くした悲しみの中で進めなければなりません。
ここでは、多くの人が想像以上に大変だと感じる相続手続きについて見ていきましょう。
死亡後すぐに必要な手続き
親が亡くなると、相続手続きはすぐに始まります。「四十九日が終わってから考えよう」と思っていても、期限のある手続きがあるため注意が必要です。
まず必要になる主な手続きは次のとおりです。
- 死亡届の提出(7日以内)
- 健康保険証の返却
- 年金受給停止手続き
- 介護保険証の返却
- 世帯主変更届
- 公共料金や携帯電話の解約
特に死亡届は火葬許可証の発行にも関係するため、最優先で行う必要があります。
さらに銀行や証券会社に死亡の事実を伝えると、口座が凍結されることがあります。そのため、「何も準備していなかったので葬儀費用を引き出せない」というケースも実際にあるのです。
親が元気なうちに財産状況を把握しておくことが重要だといわれる理由が、ここにあります。亡くなった後は想像以上に慌ただしく、落ち着いて情報を探す余裕がないことも多いのです。
「相続人調査」って何をするの?
相続手続きで次に必要になるのが、相続人調査です。これは「誰が相続人になるのか」を法律上確定する作業です。
多くの人は、「相続人なんて家族だから分かる」と思うかもしれません。
ところが実際には、戸籍を確認しないと確定できません。
そのため、
- 出生から死亡までの戸籍謄本
- 除籍謄本(亡くなった人や転籍した人の戸籍)
- 改製原戸籍(昔の形式の戸籍)
などを集める必要があります。
- 親に前婚の子どもがいた
- 養子縁組をしていた
- 本籍地を何度も変更していた
というケースでは、複数の自治体から戸籍を取り寄せなければなりません。
驚いたことに「家族が知っている家族関係」と「法律上の相続人」が一致するとは限らないのです。
相続人が一人でも漏れていると、その後の手続きがやり直しになることもあります。地味な作業ですが、とても重要なステップなんですよ。
「相続財産調査」って何をするの?
相続人が確定したら、相続財産の調査を行います。
つまり「親が何を持っていて、何を持っていなかったのか」を確認する作業です。
調査対象となるのは、預貯金や不動産だけではありません。
例えば、
- 預貯金
- 株式や投資信託
- 不動産
- 生命保険
- 自動車
- 貴金属
- 借入金
- 保証債務(保証人としての責任)
なども含まれます。
ここで問題になるのが、前章でも紹介した「通帳が見つからない問題」です。最近はネット銀行やネット証券も増えているため、紙の資料だけでは把握できない財産もあります。
また、借金などのマイナス財産も調査しなければなりません。もし借金のほうが多い場合は
相続放棄という選択肢もあります。
ただし相続放棄には、
「相続開始を知った日から3か月以内」
という期限があります。
だからこそ、財産調査は早めに行う必要があるのです。
相続では「何をもらえるか」よりも「何があるのか」を把握することが先なんですよね。
「相続登記の義務化」とは?
近年の相続で特に注意したいのが、3章でも触れた「相続登記の義務化」です。
相続登記とは、不動産を相続した際に名義変更を行う手続きのことで、以前は義務ではなかったため「そのうちやろう」と放置されるケースが少なくありませんでした。
その結果、全国で所有者不明土地が増え、大きな社会問題になったのです。
そこで2024年4月から、相続登記が義務化されました。
現在は「相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内」に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料が科される可能性もあります。
例えば、
祖父名義の土地を父が相続し、そのまま放置。
↓
さらに父が亡くなって相続が発生。
こうなると、何世代分もの相続手続きを行わなければならなくなることがあります。
相続登記は自分で行うことも可能ですが、専門知識が必要になる場面も少なくありません。
そのため、
- 不動産が複数ある
- 相続人が多い
- 名義関係が複雑
という場合は、司法書士への相談を検討する人も増えています。
「名義変更くらい後でいいだろう」と思っていたことが、大きな負担になることもあるのです。
第7章まとめ
相続手続きは、多くの人が想像している以上に複雑です。
死亡後の各種手続きに始まり、相続人調査、財産調査、相続登記まで多くの作業を限られた期間の中で進めなければなりません。
私自身も「元気なうちに準備しておく意味」が少しずつ分かってきました。さらに「これは専門家に相談したほうがいいのでは?」と思う場面も出てきたのです。
次の章では、
どのようなケースで専門家への相談を検討したほうがよいのかを見ていきましょう。
【第8章】専門家に相談したほうがいいケース

相続手続きの中には自分で対応できるものもあります。
しかし、状況によっては専門家に相談したほうが、結果的に時間も労力も節約できるケースが少なくありません。
私自身「できることは自分でやればいい」と考えていました。ところが調べていくうちに、家庭によって状況が大きく異なることが分かりました。
特に財産や家族関係が複雑な場合は、専門家の力を借りることでトラブルを未然に防げることもあります。
ここでは、相談を検討したい代表的なケースを紹介します。
相続財産が多い場合
相続財産が多い場合は、早めに専門家へ相談したほうが安心です。
なぜなら、財産が増えるほど調査や手続きが複雑になるからです。
例えば、
- 預金口座が複数ある
- 株式や投資信託を保有している
- 貸している土地や建物がある
- 事業を経営している
といったケースです。
財産の種類が増えると「何をどのように評価するのか」という問題も出てくるんですよ。
特に株式や投資信託は価格が変動しますし、事業用資産には独自の評価方法があります。また、相続人の間で公平に分けるのが難しいこともあります。
例えば、現金なら単純に分割できますが、賃貸アパートや事業用不動産は簡単には分けられません。
こうした場合は税理士や弁護士などの専門家に相談することで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
財産が多いから相談するのではなく、財産が複雑だから相談するという考え方が近いかもしれません。
不動産がある場合
実家や土地などの不動産がある場合も、専門家への相談を検討したいケースです。
なぜなら、不動産は相続トラブルの原因になりやすい財産だからです。
例えば、
- 実家しか財産がない
- 土地と建物の名義が異なる
- 共有名義になっている
- 遠方に土地を所有している
といった場合です。
現金なら人数で分けられますが、不動産はそうはいきません。
仮に2,000万円の実家を兄弟2人で相続する場合、
- 売却する
- 共有する
- どちらかが取得して代償金を支払う
などの方法を検討する必要があります。
また、相続登記の義務化によって、不動産の名義変更は以前より重要になりました。実は、実家問題が一番ややこしいかもしれません。
実家は、思い出が詰まった場所だからこそ、感情も絡みやすいのです。
不動産が関係する場合は、司法書士や不動産に強い税理士へ相談することでスムーズに進むことがあります。
相続人同士の関係が悪い場合
相続人同士の関係が良くない場合は、できるだけ早い段階で専門家を交えることをおすすめします。
なぜなら、相続トラブルの多くは、法律ではなく感情の問題だからです。
例えば、
- 兄弟間で長年交流がない
- 介護負担に不公平感がある
- 親との関係性に差がある
- 昔から折り合いが悪い
といった状況です。
遺産分割でもめる家庭は珍しくありません。相続財産が数百万円程度でも対立することがあります。その背景には、
「親の面倒を見てきたのは自分だ」
「私は何も聞いていない」
「不公平だと思う」
といった感情があります。
だからこそ、相続は財産の問題というより、家族関係の問題だと感じています。
話し合いが難しそうな場合は、弁護士や司法書士など、第三者に入ってもらうことで冷静に進められることがあります。
関係が悪化してから相談するよりも、悪化する前に相談したほうが選択肢は広がりますよ。
相続税が発生しそうな場合
相続税が発生する可能性がある場合は、税理士への相談をおすすめします。
相続税には基礎控除(一定額までは税金がかからない制度)があり
3,000万円+600万円×法定相続人の数
までは原則として課税されません。
例えば相続人が3人なら、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
が基礎控除額になります。
つまり、相続人が3人のこの場合は、相続財産の合計が4,800万円を超えると相続税の申告が必要になる可能性があります。
ただし、
- 不動産
- 株式
- 投資信託
などは評価額の計算が複雑です。
また、
- 配偶者の税額軽減
- 小規模宅地等の特例(自宅土地の評価を大幅に下げられる制度)
などの特例もあります。
これらを正しく活用できるかどうかで、納税額が大きく変わることもあります。
さらに相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。思った以上に時間がありません。
もし「実家と預金を合わせるとかなりの金額になりそう」と思う場合は、早めに税理士へ相談しておくと安心です。
第8章まとめ
相続手続きは自分で進められる場合もありますが、財産や家族関係によっては専門家の力を借りたほうがスムーズです。
特に、
- 財産が多い場合
- 不動産がある場合
- 相続人同士の関係が複雑な場合
- 相続税が発生しそうな場合
には、早めの相談が安心につながります。
相続を考えることは、自分自身の将来を考えることにもつながっています。
次の章では
私が50代になって終活を考え始めた理由について、個人的な体験を交えながらお話ししたいと思います。
【第9章】私が50代になって終活を考え始めた理由

ここまで終活や相続について書いてきましたが、私自身、もともと終活に強い関心があったわけではありません。
終活という言葉は知っていましたし、テレビや雑誌で見かけることもありました。それでもどこか他人事でした。
ところが50代になり、親の老いや相続のことが少しずつ現実味を帯びてきました。そして気づけば「親の終活」について考えていたはずが「自分の終活」についても考えるようになったのです。
この章では、私が終活を意識するようになったきっかけをお話しします。もしあなたも同じような気持ちを抱えているなら、きっと共感していただける部分があるかもしれません。
親の老いを感じた瞬間
私が終活を意識するようになった最初のきっかけは親の老いを感じたことでした。親は、いつまでも元気でいてくれるような気がするものです。
でも実際には、年齢を重ねれば誰でも少しずつ変化していきます。親が80代になり久しぶりに会ったときに、「背中が丸くなったな」と思ったり、同じ話を何度も聞いたり。そんな小さな変化に気づくことが増えました。また、親に病気が見つかり入院することになるというできごとがありました。幸い命にかかわるものではなかったのですが、完治を目指す治療ではなく、これまでどおり生活できるようにする処置を目的とした入院となったのです。若年層とは違う病気との付き合いが始まったことに老いを感じました。
さらに私の場合は、親との距離感や実家との関わり方が兄弟で違うことも気になりました。親の近くに住んでいる人もいれば離れて暮らす人もいます。親と頻繁に連絡を取る人もいればそうでない人もいます。そんな状況を見ているうちに、「もし親に何かあったとき私たちはきちんと話し合えるのだろうか」という不安が生まれました。
親の老いを感じ、兄弟の距離感の違いを意識したことが、終活や相続を考える入り口になったのです。
相続に無知だったことへの不安
終活について考え始めて、次に感じたのは自分の知識不足でした。私は相続についてほとんど知りませんでした。
遺言書という言葉は知っていても、
- 相続人は誰になるのか
- 相続手続きは何をするのか
- 相続税は誰に関係するのか
- 実家の名義はどうなっているのか
と聞かれると、答えられなかったのです。
しかしそれは私だけではないと思います。
多くの人が相続について学ぶ機会のないまま大人になり、親の終末期になって初めて向き合うことになるのではないでしょうか。
その時が来ても、何とかなるだろうと思っていました。しかし、調べれば調べるほど「直前での対策では大変なことになりそうだ」と思うことがたくさんあったのです。
だからこそ、このブログでは同じような不安を抱える人に向けて、できるだけ分かりやすく情報を伝えたいと思っています。
子どもたちに迷惑をかけたくないと思った
親の終活を考えているうちに、いつの間にか自分自身の終活も考えるようになりました。その理由はシンプルです。
子どもたちに迷惑をかけたくないと思ったのです。
学ぶ中で「困るのは亡くなった本人ではなく、残された家族」と気づきました。
通帳の場所が分からない。
保険の契約内容が分からない。
実家をどうするか決まっていない。
そんな状況になると、子どもたちはたくさんの手続きや判断を迫られます。
私には子どもがいます。
だからこそ「子どもたちには私のことで悩ませたくない」と思うようになりました。
もちろん、今すぐ遺言書を書くとか、すべての財産を整理するといった大げさな話ではありません。まずは、
- 財産を把握する
- 情報を整理する
- 家族と話し合う
そんな小さな準備から始めればいいと思っています。
終活は人生の終わりのためだけではありません。家族に安心を残すための準備でもあるのです。
第9章まとめ
私が終活を考え始めたきっかけは、親の老いを感じたことでした。そして相続について何も知らなかったことへの不安や、兄弟との情報共有の難しさを感じる中で、終活の必要性を意識するようになったのです。
さらに、自分自身も、子どもたちに迷惑をかけたくないと思うようになりました。
終活は決して特別な人だけが行うものではありません。親のことを考え始めたとき、自分のこれからを考え始めたとき。それが始め時なのだと思います。
次の章では
読者の方からよく寄せられる終活や相続に関する疑問について、Q&A形式でまとめました。
【第10章】よくある質問

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
終活や相続について調べ始めると、次から次へと疑問が出てきます。
私自身も最初は「終活って本当に必要なの?」「相続税なんて関係あるの?」といったレベルからのスタートでした。
そこで最後に、親の終末期や相続を考え始めた50代の方からよく聞かれる質問をまとめました。
親が終活を嫌がる場合は?
無理に終活を進めようとしないほうがよい場合があります。
なぜなら、親世代の中には「終活=死の準備」というイメージを持っている人も多いからです。
そのため、
「終活しよう」
「相続の話をしよう」
と言うと、
「縁起でもない」
「まだ早い」
と反発されることがあります。
そんなときは終活という言葉を使わず、
- 実家の片付け
- 通帳の整理
- お墓のこと
- 介護の希望
など身近な話題から始めるほうがスムーズです。
相続のためというより「もしものときに困らないようにしたい」という伝え方のほうが受け入れられやすいこともあります。
焦らず少しずつ話題にしていくのが現実的です。
相続財産が少なくても準備は必要?
財産が少なくても準備は必要です。むしろ一般家庭のほうがトラブルになることもあります。
その理由は「財産が少ないから話し合わなくても大丈夫」と思い込んでしまうからです。
- 預金が500万円
- 実家のみ所有
- 相続人は兄弟2人
という家庭でも「実家をどうするか」で意見が割れることがあります。
相続の問題は金額よりも、情報共有や感情の問題が大きいのです。
だからこそ、財産の多少にかかわらずあらかじめ準備していきましょう。
実家が空き家になりそうな場合は?
できるだけ早い段階で、家族で話し合うことをおすすめします。
なぜなら、空き家は時間が経つほど管理が難しくなるからです。
空き家には、
- 草木の管理
- 建物の老朽化
- 固定資産税の負担
- 防犯上の問題
などの問題があります。
また、
「誰かが住むと思っていた」
「売却すると思っていた」
という認識の違いから、兄弟間でトラブルになることもあります。
最近は実家じまい(親の家を整理・処分すること)という言葉もよく聞かれるようになりました。親が元気なうちに、
- 将来的に住む人がいるのか
- 売却する可能性があるのか
- 賃貸活用できるのか
を話し合っておくと安心です。
実家は思い出の場所だからこそ後回しになりやすい問題です。
遺言書は必ず作るべき?
必ずしも全員が作らなければならないわけではありません。
ただし、作っておいたほうがよいケースはあります。
例えば、
- 子どもが複数いる
- 不動産がある
- 再婚している
- 特定の人に財産を多く残したい
という場合です。
遺言書があることで、亡くなった方の意思を明確に残すことができます。
一方で、
- 相続人が1人しかいない
- 財産がほとんどない
という場合は、必ずしも必要とは限りません。
ただ、遺言書を書く過程で、財産を整理できるというメリットもあります。
家族へのメッセージという意味でも遺言書は価値があるかもしれませんね。もしハードルが高ければ、エンディングノートから始めてみるとよいでしょう。
相続手続きは自分でできる?
ケースによっては可能です。
実際、自分で相続手続きを行う人もたくさんいます。
例えば、
- 相続人が少ない
- 財産が預貯金中心
- 不動産がない
という場合は比較的進めやすいでしょう。
ただし、
- 相続人が多い
- 不動産がある
- 相続税が発生する
- 家族関係が複雑
といったケースでは専門家への相談を検討したほうが安心です。
特に相続登記や相続税申告には期限があります。手続きに慣れていないと、思った以上に時間がかかることもあります。
「全部自分でやる」
か
「全部専門家に任せる」
かの二択ではありません。
必要な部分だけ専門家に相談するという方法もあります。まずは自分の家庭の状況を整理するところから始めてみるとよいでしょう。
第10章まとめ
終活や相続について考え始めると、不安や疑問が次々に出てくるものです。
しかし多くの悩みは、親が元気なうちに少しずつ話し合うことで軽減できます。
終活は、亡くなった後のためだけに行うものではありません。親のことを考え、自分の将来を考え、家族との関係を見つめ直すきっかけです。
ぜひ取り組んでみましょう。
次はいよいよ記事のまとめです。
これまでお伝えしてきた内容を振り返りながら、「今日からできる最初の一歩」について整理していきます。
まとめ

終活は「まず1つ始める」だけで十分
終活という言葉を聞くと、
「遺言書を書かなければいけない」
「財産を全部整理しなければいけない」
と身構えてしまう人もいるかもしれません。
でも、終活はそんなに大げさなものではないのです。
最初から完璧な準備をする必要はありません。
親の財産について少し確認してみる。
実家のことを家族で話してみる。
そんな小さな一歩でも十分なスタートになります。
最初の一歩はエンディングノートと片付けから
「終活は何から始めるべき?」と聞かれたら、私はエンディングノートと身の回りの整理をおすすめします。
エンディングノートは、自分自身の情報を整理するだけでなく、親と終活や相続について話すきっかけにもなります。
また、実家の片付けを手伝ったり、自分の持ち物を整理したりすることで
- どんな財産があるのか
- どんな情報が必要なのか
- 家族に何を伝えておきたいのか
が見えてくることもあります。
終活は、亡くなる準備ではなく「困らせない準備」なのです。
実は私自身が遠方の実家と向き合う中で感じたことを、Kindle本にまとめました。相続や終活を考えるきっかけになれば幸いです。kindle unlimitedなら無料で読めます。







