高速バスで隣に誰も座らせないために、わざと2席予約して直前に1席だけキャンセルする「相席ブロック」という迷惑行為が全国で問題になっています。
この行為は、バス会社に大きな損害を与えるだけでなく、最悪の場合、偽計業務妨害罪という犯罪に問われる可能性もあるのです。バス会社はキャンセル料の引き上げなどで対策を急いでいますが、ネットでは賛否さまざまの声が上がっています。
なぜこのような行為が起こり、そしてどんな問題を引き起こしているのか、その背景とネットの声を詳しく見ていきましょう。
「相席ブロック」の仕組みと大問題
長時間の移動手段として便利な高速バスですが、皆さんは利用したことがありますか?もし一人で乗るなら、隣に誰もいない方が断然快適ですよね。
この快適さを手に入れるために、一部の乗客が行っているのが「相席ブロック」です。
これは、高速バスの座席予約時に、一人で隣り合う2席を予約し、乗車直前に片方だけをキャンセル(払い戻し)するという迷惑行為を指しています。
なぜこのような行為が可能だったかというと、以前は高速バスのキャンセル料が、出発ギリギリまで100円や110円程度と非常に安く設定されていたからです。
キャンセル料が格安なため、少しの追加料金を払うだけで、実質的に「隣が空席の広い席」を確保できてしまう、いわば“裏ワザ”感覚で使われていました。
しかし、これはバス会社にとって大きなマイナスです。実際には空席があるにもかかわらず、予約システム上は「満席」と表示されてしまい、本当にそのバスに乗りたい人が予約できなくなってしまいます。特に混雑する便や繁忙期には、機会損失(利益を逃すこと)が発生し、バス運行会社にとって大きな打撃となるのが現状です。
以前の警告は無視?厳格化するバス会社の対策
この相席ブロック問題に対し、バス会社側は手をこまねいていたわけではありません。
今年のゴールデンウィーク前(4月22日)には、JRバス関東が公式X(旧Twitter)で、「意図的に相席をブロックするご予約などは、他のお客さまのご迷惑となりますので、絶対におやめください」と異例の強い警告を呼びかけています。
しかし、警告後も「性善説やマナーに訴えるのは限界」という意見があったように、状況は簡単には変わらなかったようです。
これを受けて、中国地方で運行するJRバス中国では9月、一部路線のキャンセル規定を大幅に厳格化しました。これまでは片道100円程度だった払戻手数料を、国土交通省の約款を参考に、出発2時間前以降は運賃の100%(全額)徴収するように改めたのです。
長距離バスは出発直前の予約が見込みにくいため、本当に乗りたい人に乗車してもらうために必要な措置である、と同社は説明しています。
また、この行為はただのマナー違反で済まない可能性も指摘されています。
弁護士は、座るつもりもないのに予約をする行為は、民法の不法行為や偽計業務妨害罪に該当する可能性があると指摘しています。
実際に、2011年8月には、空港行きのリムジンバスで座席の架空予約を繰り返した無職の男性が、偽計業務妨害の疑いで逮捕され事例もあります。
さらに、相席ブロックを繰り返した人物が最終的に逮捕され、罰金刑や会社をクビになるという厳しい末路を描いた動画も公開され、その危険性が強調されています。
ネット上の声はどう見ている?(Yahoo! vs 5ch)
この問題に対するネット上の声は、主に「対策の厳格化」を求める点で共通していますが、その方向性には少々違いが見られました。
Yahoo!コメントの主な意見は、キャンセル料の引き上げに集中しています。
ホテルや旅館、飛行機と同様に、当日キャンセルは運賃の100%徴収すべきという声が非常に多く見られました。また、ヨーロッパのバス会社の事例を参考に、あらかじめ追加料金を払うことで隣席を空けられる「有償オプション」を導入すべき、という現実的な提案も出ています。
一方で5ちゃんねるの声には、キャンセル料引き上げの必要性(当日100%)に加えて、悪質な利用者をブラックリスト化し、二度とバスに乗せないようにすべきだという厳しい意見も多く見られました。また、相席を避けたいという需要がある以上、バス会社がキャンセル被害を承知で3列独立シートの車両を導入するなど、設備改善にコストをかけるべきだ、という構造的な解決を求める声も目立ちました。
このように、どちらも厳罰化を望んでいますが、Yahoo!コメントが「キャンセル料」という料金システムによるモラルの向上に焦点を当てるのに対し、5ちゃんねるでは「ブラックリスト」による利用制限や「車両そのものの変更」といった、より直接的かつ抜本的な対策を求める意見が強い傾向にありました。
便利なサービスを守るために
高速バスの相席ブロックは、私たちが普段使う交通機関でも起こりうる、モラルに関する大きな問題です。たった数百円で快適さを買おうとする「裏ワザ」感覚の行動が、結果として、本当にバスが必要な人の利用機会を奪い、バス会社の経営を圧迫し、巡り巡って運賃の値上げやサービスの改悪につながってしまうかもしれないのです。
自分一人の行動は小さいと感じても、それが偽計業務妨害罪という犯罪につながってしまうリスクがあることを知ると、他人事ではないと感じます。便利なサービスを維持していくためには、会社側の対策だけでなく、私たち利用者一人ひとりが、公共の場でのマナーや「約束」(予約)の大切さを再認識することが必要なのだとかんじました。
今回は、高速バスの相席ブロック問題に関する報道と、それに対するネット上の声をまとめました。皆さんはどのように感じましたか。よかったらコメントをお願いします。















