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スギ花粉症の救世主となるか?!未来に向けて今できること

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(出典 Pixabayua_Bob_Dmyt_ua
厳しい寒さが緩んできたかと思う今日この頃ですが、安心ばかりしていられません。次に気になるのが「花粉症」です。皆さんはいかがでしょうか。今回は、なぜ花粉症が流行るようになってしまったのか、国としてどんな対策がとられているのかを探ってみました。
そのうえで症状改善のための豆知識動画もまとめましたので、良かったらご覧ください。花粉症の始まり
戦後の日本、焼け野原となった国土を再生させるため、政府は大規模な植林政策を実施しました。特にスギは成長が早く、建築資材として優れていたため、1960年代に大量に植林されたのです。この政策は、当時の木材需要に応えるための賢明な選択でした。

しかし、皮肉なことに、この大量植林が現代の日本人を悩ませる国民病の原因となってしまったのです。スギの木は植林から25〜30年後に花粉の飛散量が増加するため、1970年代から花粉が大量に飛散し始め、花粉症の発生が社会問題となり始めました。

さらに、木材輸入の自由化により安価な外国産木材が流入し、国産材の需要が減少。その結果、多くのスギ林が手入れされないまま放置され、花粉の飛散量がさらに増加したのです。現在では、日本人の3人に1人以上がスギ花粉症に悩まされており、都市部では2人に1人が罹患しているという深刻な状況です。

ただ、この状況を改善する可能性を秘めた発見がありました。平成4年(1992年)、富山県で全国初となる無花粉スギが発見されたのです。この無花粉スギは、雄花はつけるものの花粉を全く生産しない特殊なスギで、その特性はメンデルの法則により遺伝することが分かりました。

富山県はこの発見を活かし、無花粉スギの研究開発に先進的に取り組みました。そして平成24年(2012年)には、林業にも適した優良無花粉スギ「立山 森の輝き」を開発し、本格的な普及を開始しました2。現在では、富山県で生産されるすべてのスギ苗木が無花粉スギとなっており、県外への出荷も始まっています2。

無花粉スギは花粉症対策だけでなく、環境保護の面でも注目されています。一般的なスギよりも成長が早く、短期間で収穫可能なため、木材資源の安定供給に貢献するというのです。また、温室効果ガスの吸収にも効果があり、地球温暖化の原因ともなる二酸化炭素排出を抑えるカーボンニュートラルの実現にも寄与すると期待されています。

農林水産省の発表によると、現在、全スギ苗木生産量の約50%が無花粉スギと少花粉スギで占められているとのこと。令和14年度(2032年度)までにその割合を70%まで高めようとしています。

このように、戦後の植林政策がもたらした予期せぬ結果から、新たな技術革新が生まれ、花粉症に悩む多くの日本人に希望をもたらしています。無花粉スギの普及により、将来的には花粉症に悩む人が大幅に減少するかもしれません。さらに、環境保護にも貢献する、そんな未来が訪れるといいですね。

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